思い出の音楽を持っていますか?
その曲を聴くと必ずあの旅を思い出すような、その曲を聴くとあの本の情景が目に浮かんでくるような。
そんな音楽。
僕はいくつか持っています。
たとえば、Husking Beeの『Variandante』を聴くと、香港にインターンシップに行っていたときの情景が思い浮かびます。
うだるような蒸し暑さ、冷房がよく効いたMTR、飲茶、ホットコーラ、プール、マカオ…。
R.E.M.の『Up』を聴けば、高知県の山中を旅した時の風景が頭によみがえります。
のんびりとしたローカル電車、雨、何もない駅、森、森、森…。
そして、JICA(国際協力機構)が出した『Seven Stories ~地球の鼓動が聞こえてくる~』というアルバムを聴くと、必ず村上春樹著『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』のことを思い出します。
このアルバムは非売品で、JICA設立20周年を記念して出されたCDです。
中学生の頃に足しげく通っていた市立図書館で見つけました。CDコーナーの片隅にポツンとあったのを覚えています。
そのタイトルに何となく興味を惹かれて借りました。
同じ日に『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』も借り、僕は家に帰ってそのCDを流しながら、本を読み始めました。
この2つの組み合わせは、すごく合っていたようです。
特にCDの3曲目『Idyllwild』、6曲目『Tides』と本の雰囲気がすごくマッチしていて、このCDと本は僕の中ではセットで記憶されることになりました。
(曲の動画や音声を載せたかったのですが、ネットを探しても全然見つかりませんね…。いつかネットにアップしたいと思います)
今でもこの曲を聴けば本のことを思い出しますし、本を読めばメロディが頭に浮かびます。
そういうのって、後々になって心を暖めてくれたりします。そのときの気持ちがありありと浮かんでくるんですね。
だから僕は今も、小説を読むときは音楽を流すようにしていますし、旅に出るときは1枚のアルバムをその旅のテーマにすることにしています。
これから先も心を暖かくしてくれるような個人的な思い出を作っていくためです。
音楽を聴いていた時のことを、後になって思い出す。
それって、単に記憶を探ることとも、写真を見て思い出すのとも少し違う。
どことなく特別な感じがする思い出し方です。